The Modelとは?営業プロセスで成果を出す仕組みを解説|従来型の営業組織との違いも紹介

「The Model(ザ・モデル)」というビジネスのフレームワークをご存知でしょうか。営業プロセスの効率化や最適化、売上向上などに効果的なこのフレームワークは、近年BtoBビジネスを中心とした多くの企業に注目されています。

そこで今回は、ビジネスフレームワーク「The Model」について、その内容やメリットなど詳しく解説していきます。

目次

The Model(ザ・モデル)とは

まずは、「The Model」とはどのようなものなのか、またその背景について解説していきます。

The Modelは、営業プロセスモデルのひとつ

「The Model」とは、より高い営業成果を目指すための仕組みのことです。「The Model」では、一連の営業プロセスを切り分けて分業し、各プロセスを担当する部署が連携することによって、売上の拡大や顧客満足度向上を目指します。

また、営業プロセスには、マーケティングや顧客との商談、カスタマーサクセスなどといった多くのプロセスがありますが、「The Model」では各プロセスにおける情報をKPI管理により可視化します。各プロセスにおける情報を明確な数字にし、それらを向上させることで、売上が上がるという仕組みです。

分業と連携、情報の可視化を行う「The Model」は、質が高く、再現性のあるビジネスプロセスを可能にするとして、今では多くの企業に活用されています。

The Modelの注目の背景

「The Model」は、ビジネス向けクラウドサービスを展開するセールスフォース・ドットコムで活用されてきたビジネスモデルです。セールスフォースの専務取締役を務めた福田康隆氏が、2019年にそのフレームワークを自著『The Model マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』で発表したことにより、注目されるようになりました。

「The Model」が注目される背景には、近年のSaaSビジネスやサブスクリプションビジネスなどといった継続的ビジネスの拡大があります。
また、インターネットの普及により顧客が自分で情報を得られるようになったことや顧客のニーズが多様化したことも背景のひとつです。
分業によって、顧客のステージに合わせた専門性の高いアプローチができる「The Model」は、現在のビジネスにマッチしたフレームワークなのです。

「The Model」と「従来型の営業組織」の違い

「従来型の営業組織」では、1人の営業担当者が営業におけるすべてのプロセスを担当していました。一方、「The Model」では分業と連携により営業プロセスを進めていきます。これにより、「The Model」では各プロセスにおけるより専門性の高いアプローチが可能になります。

以前は営業担当者が広く顧客の購買プロセスに関わることが可能でしたが、誰でも多くの情報を簡単に得られる現代において営業担当者が関われる顧客の購買プロセスは狭まっています。営業がアプローチを始める時点では、顧客の購買意思の6割以上が決まっているとも言われています。
そこで重要なのが、顧客に対し確度の高いアプローチを行うことです。「The Model」ではプロセスの分業により、顧客に対する専門性の高いアプローチを可能にしています。

また、分業により営業プロセスを進める「The Model」は営業担当者の負担を軽減して業務効率を高めるほか、再現性の高い営業プロセスの実現にも有効です。

The Modelの仕組み

ここからは、「The Model」の仕組みについて見ていきましょう。「The Model」の仕組みは、「営業組織の分割」と「各部門のKPI設定」という、大きく2つの要素に分けられます。

営業組織を4部門に分ける

「The Model」では、まず営業組織(プロセス)をマーケティング、インサイドセールス、外勤営業、カスタマーサクセスの4部門に分けます。

①マーケティング
広告や展示会などを通じて、アプローチを行うターゲットを見つけ出す部門。
②インサイドセールス
マーケティングが見つけた潜在顧客に直接コンタクトを取り、アプローチを進める部門。
③外勤営業
インサイドセールスが繋いだリード顧客により具体的な提案を行い、商談、クロージングを目指す部門。
④カスタマーサクセス
追加受注や契約の継続のため、成約後の顧客を追う部門。

それぞれの部門でKPIを設定する

それぞれの部門で母数、成功率、ゴールとなるKPIを設定します。この数値を部門ごとに繋げることで、各部門のスムーズな連携が可能になります。
例を挙げてみましょう。

マーケティング 母数:来訪者数 成功率:獲得率 ゴール:リード数
インサイドセールス 母数:リード数 成功率:案件化率 ゴール:案件数
外勤営業 母数:案件数 成功率:受注率 ゴール:受注数
カスタマーサクセス 母数:受注数 成功率:契約更新率 ゴール:継続契約数

上記のように、前プロセスのゴールが次プロセスの母数になるよう、数値を設定していきます。
この時大切なのは、正確な数値を連携することです。不正確な数値は他の部門にも影響を与え、全体の業務を非効率的なものにしてしまいます。

The Modelの活用メリット

セールスイネーブルメントで事業成長を牽引する

「The Model」は、以下のような活用メリットを受けて多くの企業の営業モデルに取り入れられています。

メリット1 営業プロセスの弱点が明確に

「The Model」では、営業プロセスを部門ごとに分け、さまざまな施策の成果を数値化します。これにより、営業プロセスの中でどこが弱いのか、反対にどこに強みがあるのか一眼で判断でき、的確な改善を行うことができます。

メリット2 各プロセスにおける専門性の向上

全てのプロセスを同じ営業担当者がこなしていた従来モデルと異なり、「The Model」ではプロセスを分業します。分業により、担当者はスペシャリストとしてそのプロセスに集中することができ、より専門性の高い業務をこなせるようになります。各業務の専門性が向上すれば、多様化・複雑化する顧客ニーズにも対応しやすくなるでしょう。

メリット3 休眠・失注案件のリサイクル

「The Model」では、過去の休眠・失注案件を掘り起こし、効果的なアプローチをすることも可能です。休眠・失注案件を長期的にフォローしておき、過去の情報をもとにインサイドセールスが最適なタイミングでアプローチすることで、成約に繋がる可能性があります。
従来型では手が回らない休眠・失注案件も、分業型の「The Model」であればリサイクルして生かすことができます。

The Modelを導入する際の注意点

「The Model」導入の際の3つの注意点について見ていきます。

注意点1 綿密な数値設定によりブラックボックス化を防ぐ

「The Model」を導入する際には、営業プロセス全体を段階ごとに数値化することが大切です。最初の集客目標や最終的な成約目標だけを数値化したのでは、その間のプロセスがブラックボックス化してどこに弱みがあるのかわからず、「The Model」のメリットを生かせません。
どの数値をKPIにするかは企業によって異なりますが、どの段階で何が起こっているのかわかるよう、必ず営業プロセス全体を段階ごとに数値化するようにしてください。

注意点2 ルールを明確に定めておく

「The Model」導入にあたっては、まずルールを定めておく必要があります。導入するフレームワークがどのようなもので、どんな時にどんな対応をするのか明確に決め、それを社員に周知しておかなければ、導入後に混乱が起こる可能性があります。
また、各部門の責任範囲は数値(KPI)で決めておき、各部門が各数値に責任を持って取り組めるようにしておきましょう。

注意点3 ツールを活用して効率的に

「The Model」では、部門ごとに分業・連携して営業活動を行うため、情報共有の重要性が高いと言えます。部門の垣根を越えて効率的に情報共有を行うには、SFAやMA、CRM、セールスイネーブルメントツールなどのツールが役立ちます。ツール上で情報の共有・蓄積・管理ができるこれらのツールには、部門の連携強化が期待できるでしょう。

まとめ

「The Model」は、顧客にとっても企業にとってもメリットのある、ビジネスにおける理想的なフレームワークです。ただし、うまくこのフレームワークを活用するためには、「The Model」を自社に合う形へ落とし込む必要があります。そのためには、明確な目的やルールの設定、社員への周知など念入りな事前準備が必要でしょう。

また、「The Model」などの新たなフレームワークを導入し、営業活動を改善させたいのであれば、営業ツールやセールスイネーブルメントツールなどツールの活用も役に立ちます。「The Model」導入時には、同時にツール導入も検討するようにしましょう。

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