SPIN営業術とは?顧客の潜在ニーズを知るヒアリングを解説

営業担当が商談を成約させるためには、顧客の心理に働きかける話術が必要です。効果的な方法としてよく用いられるのが、ヒアリングのフレームワークであるSPIN話法を用いた営業術です。顧客の潜在ニーズを引き出すSPIN話法は、BtoB営業には欠かせません。

そこで今回は、SPIN話法を用いた営業活動であるSPIN営業術についてご紹介します。話法の意味やコツを押さえ、実際の営業トークに取り入れてみてください。

目次

SPIN営業術とは

まずは、SPIN営業術とは何なのか、またその歴史について解説していきます。

SPIN営業術とは

SPIN営業術とは、SPIN話法を用いた営業方法のことです。
SPIN話法は、「Situation(状況)」「Problem(問題)」「Implication(示唆)」「Need-payoff(解決)」という4つの視点から、顧客の潜在ニーズに働きかけるヒアリング話法です。
営業担当は、SPIN話法にもとづいた質問を順に重ねることで、顧客に自らの潜在ニーズを気づかせ、さらに営業担当自身も顧客の状況を的確に把握することができます。これにより、その後の商談を前向きに、スムーズに進めることが可能になります。

SPIN話法を用いた営業方法は、商談の成功率向上だけでなく、顧客からの信頼向上にも効果的だとして、特にBtoB分野での営業活動に用いられています。

SPIN営業術の歴史

SPINというフレームワークは、イギリスの行動心理学者であるニール・ラッカムによって提唱されたものです。1988年にニール・ラッカムは自著「SPIN Selling」を発表し、この書籍はベストセラーとなりました。
その後、90年代半ばには、ニール・ラッカムの書籍を日本語に訳した「SPIN式販売戦略」というビジネス書籍が発売され、SPIN話法は日本でも知られるようになりました。
現在では、 BtoB営業の基本として、世界中でSPIN話法が用いられています。

SPIN話法の各質問の目的と役割

前述の通り、SPIN営業術では営業ヒアリングにおいて、「Situation(状況)」「Problem(問題)」「Implication(示唆)」「Need-payoff(解決)」という4つの視点から順番に質問を顧客に投げかけ、顧客の潜在ニーズを明確にしていきます。
ここでは、4つの質問の目的と役割について見ていきましょう。

①Situation Question(状況質問)

営業ヒアリングにおいて、最初に行うのが、「Situation Question(状況質問)」です。
「Situation Question」は、顧客が置かれている状況を営業担当が把握するための質問です。売り込みたい商品やサービスと繋がるような状況質問を行うことで、顧客の状況を把握し、後の質問へと繋げていきます。

ここでのポイントは、顧客とともに確認するようなイメージで状況を把握していくことです。また、長々といくつもの質問をするのは悪印象になるので避けましょう。


MAシステムを売り込む場合
「マーケティング業務を担当なさっているとのことですが、具体的にはどのような業務をされているのですか?」

②Problem Question(問題質問)

「Problem Question(問題質問)」は、顧客の抱える課題を引き出すプロセスです。
「Situation Question」での状況把握を受け、顧客が抱えているかもしれない課題を、質問の形で引き出していきます。この課題を、売り込みたい商品やサービスで解決できる内容にすることで、スムーズに次の質問へと繋げることができます。

スムーズに「Situation Question」から「Problem Question」へと移るには、事前の情報収集が必要です。相手先の会社の情報や同様の顧客が抱える課題の統計を調べるなどして、できるだけ的確な問題質問をできるよう準備しておきましょう。


「そんなにも多くの業務を担当なさっていては、忙しいでしょう。なかなか新しい施策も考えられないのではないですか?」

③Implication Question(示唆質問)

「Implication Question(示唆質問)」は、「Situation Question」によって引き出した課題によって生じる状況を示し、課題解決の必要性を認識してもらうためのプロセスです。起こり得る具体的な問題を提示することで、顧客に課題をそのままにしておくことの危機感を感じてもらい、顧客の方向性を課題解決へと向かわせます。

ただし、「Implication Question」を強引な内容にしてしまうと「売りたい!」というセールス感が大きく出てしまい、顧客の信用を損ねる恐れがあります。自然な流れで質問を提示することが大切です。


「リードやリードになり得る人に有効な情報を届けられていないこともあるかもしれませんよね。」

④Need-payoff Question(解決質問)

「Need-payoff Question(解決質問)」では、今までの質問の流れを受けて、顧客が気づいた課題や危機感を解決するための質問を行っていきます。まず解決策を提示し、具体策として自社の商品やサービスを提案します。

「Need-payoff Question」で注意したいのは、まずは顧客に、解決策に気づいてもらうようにすることです。先にセールストークに入らないよう注意してください。


「もしデータの集計や分析にかかっている現在の作業時間を10分の1にできたら、より多くのお客様を獲得するための新しい施策にもチャレンジできるのではないですか」

潜在ニーズを引き出するコツ

SPIN営業術で顧客の潜在ニーズをうまく引き出すために意識したいコツを4つご紹介します。

コツ1 押し売りは厳禁、顧客に気づかせることが大切

SPIN営業術で重要なのは、「聞くこと」「顧客自身に潜在ニーズに気づいてもらうこと」です質問形式で段階を踏んで話を進め、顧客自身に気づき決めてもらうことで、顧客の理解度や納得感は増していきます。
いち早くセールストークに移るのではなく、顧客が自身のニーズに気づき理解するまで、商品やサービスの提案は待つようにしましょう。

コツ2 スムーズにSPINを繋ぐ

SPIN話法を用いた営業ヒアリングでは、「Situation(状況)」「Problem(問題)」「Implication(示唆)」「Need-payoff(解決)」をスムーズに繋ぐ質問を行わなくてはなりません。無理な流れで質問を繋いでしまうと強引さが出て、顧客が警戒してしまう恐れがあります。
S・P・I・Nの順に、一貫性のある質問をするようにしてください。

コツ3 主語を変えて質問してみる

SPIN話法において、目の前の相手だけでなく、従業員や他の部署など、主語を変えた質問をしてみるのもひとつです。主語を変えることで、顧客はより明確に新たな視点から問題を認識することができます。
また、質問をスムーズに繋ぐための一手としても、主語の変換は役立つでしょう。

コツ4 情報収集・事前準備をしっかりと

SPIN話法を用いたヒアリングを行う前には、事前の準備が必要です。相手企業の情報や競合の情報をよく調べ、相手企業が抱えているかもしれない課題について分析しておきましょう。事前の情報収集をもとに仮説を立てておくことで、実際の営業における会話をスムーズに紡ぐことができます。
事前準備をしておかなければ、スムーズな営業ヒアリングは行えません。
また、SPIN話法を用いたヒアリングの練習も行っておく必要があります。

まとめ

営業活動において、ただセールストークを並べるだけでは、顧客の心を掴むことはできません。SPIN営業術を用いて、潜在ニーズに対する気づきを与えることができれば、自然な流れで顧客は商品やサービスを検討し、さらに営業担当に対する信頼も持ってもらうことができます。
ただし、SPIN話法を成功させるには質問や会話のスムーズさが必要です。日頃からロープレを重ねトレーニングしておくと良いでしょう。

また、営業活動をより効率的に進めるには、セールスイネーブルメントツールの活用がおすすめです。セールスイネーブルメントツールは、営業に関するあらゆる取り組みを総合的に管理し可視化することで、各顧客への最適なアプローチを可能にします。SPIN営業術に併せてセールスイネーブルメントツールも活用すれば、より確度の高い商談が行えます。

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