営業活動では商品の説明やサポート内容を顧客に伝えやすくするために、営業資料が使用されます。営業資料は多くの場合、社内で共有して複数の営業担当が活用可能な状態になっているでしょう。
営業資料はサービス内容や価格が変更されるたびに更新し、常に最新の状態のものを顧客に提示しなくてはいけません。しかし、営業資料のバージョン管理が出来ていない企業では、古い情報を顧客に提示してしまったり、最新の資料を探すために無駄な時間を割いたりする非効率な状態に陥っているのです。
この記事では営業資料のバージョン管理を正しく行うために知っておくべき知識や、おすすめのツールを紹介しましょう。営業資料の管理や共有方法に困っているのなら、ぜひ参考にしてください。
BtoB営業における営業資料の重要性
営業資料はBtoB営業において特に重要であると言えます。BtoB営業の場合は個人相手の営業と違い、営業担当が必ず決裁権を持つ相手と商談が行えるとは限らないためです。優れた営業資料は営業担当の代わりになって商品のメリットや導入効果を顧客に伝えてくれるでしょう。
また、アポイント取得前に「とりあえず資料を送ってください」と顧客から希望される機会は多く、営業資料が商談創出の役割を担う場合もあります。つまり営業資料の活用場面は商談の場だけではなく、その前段階にもあると言うことです。
営業資料の管理・共有不足で生じるデメリット
営業資料の管理・共有不足によって生じるデメリットには次のようなものがあります。どのデメリットも営業活動の効率を悪くしてしまうでしょう。
デメリット1 必要な営業資料を探すのに多くの時間がかかる
営業資料が共有フォルダ内に散らばっている状態では、営業担当が必要な資料を探すために多くの時間を浪費してしまいます。
例えその時間が10分程度だったとしても、10人の営業担当が週に3回営業資料探しを行うと、営業部門全体で毎週5時間、毎月20時間も時間を無駄にしている計算になるのです。営業資料を正しく管理しないことは、これだけ非効率な状態であると捉えるべきでしょう。
デメリット2 顧客に誤った資料を提示してしまう
商品やサービスの内容や価格の変更が行われた後に古い情報を顧客に提示してしまうと、大きなトラブルにつながります。特に価格を上げた商品は、変更前の価格を顧客に知られるべきではありません。
また、顧客に「資料の管理が出来ていない企業だ」というマイナスイメージを与えるため、企業そのものの信頼度も下がってしまうのです。
デメリット3 優れた営業資料が活用されない
営業資料の管理や共有が出来ていない状態では、トップセールスのノウハウが詰まった「優れた営業資料」が存在していても、他の営業担当が活用することができません。
企業にとってノウハウや情報は財産と呼べる存在であり、きちんと共有や管理しなくてはいけません。
営業資料を電子化管理する際の問題点
ペーパーレス化が進んだ今では営業資料に限らず、多くの資料が電子化管理されるようになりました。しかし、紙のファイルのように元から決められた場所・決められた棚・決められたファイルのない電子データは、社内の共有フォルダ内に散らばりやすく、どこに何があるのか分からない状態に陥っている場合があります。
ファイル名に「最新版」「最終版」と記載されたファイルが複数存在し、最新の資料が見つけられないという問題も発生しやすい問題です。ペーパーレス化には印刷費用の削減、保管場所や管理にに必要なコストの削減など多くのメリットがありますが、何の準備もなく資料を電子化してしまうと、このような問題が発生します。
次章で紹介する、資料の管理ルールなどの事前に決めておくべきことがありますので、確実に準備するようにしましょう。
営業資料の電子化管理を行う前に決めるべきこと
営業資料を電子化管理する際には、事前に決めておくべきことやルールがあります。万全の準備を済ませた状態で営業資料の電子化を行いましょう。
1 現在、抱えている問題を明確にする
営業資料の電子化管理を検討している企業の大半は、現段階の営業資料管理に何らかの問題を抱えています。ただ闇雲に電子化を進めるのではなく、その問題が電子化によって解決可能であるかを明らかにしましょう。
営業資料を使用する営業担当はもちろん他部署の意見も確認すると良いです。
2 電子化したデータの管理ルールを決める
営業資料を電子化しただけでは、電子データが共有フォルダ内に点在したり、最新版が分からないなどの問題につながります。
ファイル名の付け方のルールや文書管理者の選定、アクセス権限の管理を行い、電子データを個人の判断で修正したり、保管場所を変更したりすることが出来ないようにしましょう。
バージョン管理機能が搭載されているツールの導入をオススメする理由
電子データの「最新版」が複数存在してしまう状態は多くの企業で発生しており、個人任せになりがちなファイル名やフォルダ分けでのバージョン管理は非常に難しいことが分かります。
しかし、バージョン管理機能が搭載されたツールを導入すれば、最新版の営業資料がどれか分からないという問題はなくなるでしょう。バージョン管理ができるツールには、上書きしてしまったデータを更新前の状態に戻す機能も搭載されています。
バージョン管理機能が搭載されているツールを運用する際のポイント
バージョン管理機能が搭載されたツールを使って営業資料の電子化を進める際には、資料に特定のプロジェクト名や関連するプロジェクト名をタグ付けしておくと、一度の検索で必要な営業資料と関係のある営業資料を短時間で見つけられるようになります。
営業資料の検索に多くの時間が割かれなくなれば、営業活動全体の効率化にもつながるでしょう。
代表的なバージョン管理機能が搭載されているツール
ここからは、バージョン管理機能が搭載されている代表的なツールを紹介しましょう。
リコー:Ridoc Smart Navigator V2
社内の情報を一元管理しスムーズな情報共有を実現可能なRidoc Smart Navigator V2では、複合機や他のアプリケーションと連携してドキュメントの電子化・管理・検索・共有・活用まで行えます。
「タイムスタンプ機能」が搭載されているため、改正電子帳簿保存法の国税関係書類への対応も可能です。
※本体インストールメディアに1サーバーライセンスを含む。
https://www.ricoh.co.jp/ridoc_ds/rds/rsn2/
富士通:FUJITSU ビジネスアプリケーション Documal
クラウド環境で使用可能なサービスであるため手頃な価格設定がされており、すぐに使い始められるという特徴があります。電子化されたデータの作成・商品から廃棄までのサイクルを自動化可能で、有効期限を設定しておけば人の手を介さずに文書を削除出来るのです。
無料の1ヶ月トライアルが用意されているので、使い心地を確認してみると良いでしょう。
月額費用:20,000円~(アカウント数により異なる)
https://www.fujitsu.com/jp/group/fsit/services/pkg/documal-saas/
日立ソリューションズ:活文 Contents Lifecycle Manager
簡易検索・属性検索・全文検索・絞り込み検索など多彩な検索機能を搭載しているため、必要な文書を迅速に見つけられ、数千万データという大規模な企業のデータ管理にも適しています。
権限の設定が細かく行えることから、ダウンロード可・参照のみ可・参照も不可のような権限設定を行うことで、社内外での情報漏洩を防げるでしょう。
https://www.hitachi-solutions.co.jp/katsubun/sp/clm/
まとめ
営業資料の管理や共有には、適切なバージョン管理が必要です。営業資料のバージョン管理が出来ていないと、営業活動が非効率になるだけでなく、顧客に誤った情報を提示してしまう恐れもあるでしょう。
しかし、営業資料の管理においては、バージョン管理機能だけでは不十分です。営業資料が活用しやすいように、共有や検索もしやすくなくてはいけません。そのためには、営業ツールやセールスイネーブルメントツールなどの、営業活動全体の効率化に役立つツールの導入も検討するといいでしょう。最新の営業資料がスムーズに活用できる環境を整えましょう。