ビジネスの場で書類や請求書を顧客に送る時は添え状をつける必要がありますが、何を記載すれば良いのか分からずに困ってしまう方もいるでしょう。
添え状は一度テンプレートを作成してしまえば、内容を調整することで複数回利用可能です。ただし、用途に合わせて挨拶文を変更した方がより自然な仕上がりになります。
この記事では、添え状の書き方を目的別・相手別に紹介します。これから添え状を作成しようと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
添え状とは
添え状とは「送付案内状」「資料送付状」のことで、「送付状」や「添え状」と言う場合もあります。郵送またはFAXで請求書などの書類を送る時に添えられるもので、添え状があるかないかによって書類を受け取る相手に与える印象が大きく変わるでしょう。また、添え状は次のような役割も持っています。
1 送付先への挨拶をする
郵送やFAXで書類を送れば、時間をかけずに相手にいち早く書類を渡すことが出来ますが、書類のみを送付するとそっけない印象になってしまいます。
手渡しであれば直接行う挨拶を、添え状が代わりに行ってくれると考えると良いでしょう。そのため、添え状の挨拶文は相手との関係性によって多少変更する必要があります。
2 送付書類の送り漏れを防ぐ
通常添え状では、送った書類の内容や枚数を記載します。多くの方は、書類の送付時に添え状を使って送付内容の最終確認を行うため、添え状には書類の送付漏れを防ぐ効果があると言えるでしょう。
また、受け取る側も届いた書類の内容確認時に添え状を使うことができます。
3 補足説明をする
書類に補足事項を記載するスペースがなかった場合は、添え状に補足事項を記載します。特に書式が定められている書類を送る時に役立つでしょう。
4 誤送信を教えてもらう
避けるべき事態ですが、FAX先の入力間違いや記入ミスで書類の送信先を間違えてしまった時には、添え状があることで誤送信に気づかれやすくなります。A社に送ろうとしていた書類をB社に送ってしまった場合、すぐに誤送信の事実を教えてもらえる可能性が高いでしょう。
もちろん誤送信自体に気をつけるべきですが、早くミスに気が付けば迅速な対応が取れるでしょう。
添え状の書き方・文例
ここからは、具体的な添え状の書き方と文例を紹介します。一度テンプレートを作っておけば、あとは内容を変更して何度も活用出来るでしょう。
郵送で使う添え状の書き方
まずは郵送で書類を送る際に活用可能な添え状の例を紹介します。郵送の添え状は一般的にA4サイズで印刷し、書類の一番上に置いて封筒に入れます。
①送付日
書類作成日ではなく、書類を投函する日付を添え状の右上に記載します。
②宛先
宛先の住所と会社名や担当者名を添え状の左上に記載します。部署宛の時には「御中」個人宛の場合は「様」を付けてください。
③送り主
自社の住所、会社名、送付担当者名を右端に揃えて記載します。電話番号やメールアドレスも表示すると良いでしょう。送付した書類への問い合わせは、こちらに記載された連絡先に行われることが多いです。
④タイトル
郵送で使用する添え状のタイトルは「書類送付のご案内」などが適しています。用紙の中央に記載することが一般的です。
⑤頭語
手紙の頭の挨拶で、「こんにちは」「さようなら」にあたる部分です。ビジネス文書では拝啓・敬具を用いるのが一般的です。
⑥挨拶文
挨拶文は、頭語に続けて1スペース空けて記載します。ビジネス文書で利用可能な挨拶文にはさまざまな種類が存在しますが、季節を表すものは送付のタイミングごとに変える必要があるため注意が必要です。次のような文章であれば季節に関係なくいつでも使用可能でしょう。
挨拶文については送り先によって文章を変更する必要があり、上記の挨拶文はBtoB営業向けの一例です。その他のパターンは後ほど説明しましょう。
⑦「記」→送付内容→「以上」
「記」「以上」は箇条書きで伝えるべき内容を記載する時に使います。どちらか片方のみを使うことはなく、「記」を添え状の中央部分に記載した後に内容を箇条書きで説明し、末尾の右下部分に「以上」と記します。
「以上」の下に文章を記載してはいけません。
⑧備考
必要であれば最後に備考欄を設けて補足情報を追加します。不要の際には項目自体を削除するようにしてください。
FAXで使用する添え状の書き方
FAXで使用する添え状は、受け取り先のインクやトナーを無駄に消費してしまわないように、シンプルなデザインを心掛ける必要があります。
①タイトル
多くの場合「FAX送信状」というタイトルが用いられます。
②送信日
書類作成日ではなく、FAXを送信する日付を添え状の右上に記載します。
③送信先
宛先の会社名と担当者名、電話番号、FAX番号を記載します。万が一誤送信があった場合に、相手のFAX番号の記載があると間違いに気が付きやすくなります。
④送信元
自社の会社名と担当者名、電話番号、FAX番号を記載し、送付枚数も記します。FAXは送信途中で相手に確認される可能性があるため、送付枚数が分かりやすく記載されていることが重要です。
⑤頭語・挨拶文・送付内容・備考
頭語・挨拶文・送付内容の記載は、郵送の添え状と同じです。
⑥相手への対応依頼の種別
FAX 送信は郵送よりも早く相手の手に届くため、書類を受け取った相手に求める対応を記載する方もいます。添え状のテンプレートに「至急」「ご参考まで」「ご確認ください」「ご返信ください」という言葉とチェック欄を用意すれば、FAX送信時にチェックを入れるだけで相手に希望する対応が伝わりやすくなります。
相手別の添え状の挨拶文
添え状の挨拶文は送付する相手によって内容を変える必要があります。ここからは相手別の挨拶文の書き方を説明しましょう。
挨拶文以外の項目は特に変える必要はありませんが、個人のお客様や社内宛ての文書であれば、相手との関係性により「拝啓・敬具を使わない」「記・以上を記載しない」ということも悪い印象は持たれないでしょう。
1 BtoB営業
BtoB営業で使用する添え状は、自社から顧客である企業に向けて送るものであるため、シンプルな書式でビジネス文を用いる必要があります。具体的な挨拶文の例は次のようなものです。
・時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。早速ではございますが、下記の書類をお送り致しますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
2 BtoC営業
BtoC営業では個人の顧客に向けて添え状を作成しますが、企業向けのものをそのまま活用してしまうと、少し堅苦し過ぎるイメージになってしまいます。少し言葉を柔らかくした表現に変える必要があるでしょう。
・いつも当店をご利用いただきましてありがとうございます。下記の書類をお送り致しますので、ご査収の程よろしくお願いいたします。
3 社内
同じ企業内でも別の事業所の相手に郵送やFAXで書類を送付する際には添え状を利用すると良いです。添え状があるだけで丁寧な印象を持たれるでしょう。
・お世話になっております。下記の書類をお送りします。よろしくお願いします。
まとめ
書類送付には添え状が欠かせませんが、添え状の内容には注意が必要です。添え状が持つ役割を認識し、過不足なく必要な情報を記載しましょう。
紙の書類でやり取りが必要なものもあると思いますが、顧客に営業資料を送付する場合は営業ツールやセールスイネーブルメントツールなどのツールを利用するのがいいでしょう。印刷や郵送のコストもかからず、すぐに相手に資料を送ることが可能です。そのうえ、顧客が資料を閲覧したどうかが分かるツールもあり、顧客へのアプローチがしやすくなるでしょう。多くなりがちが営業資料の管理も容易になりますので、資料を送付する機会が多い方はツールの導入も検討してみるといいでしょう。