社会的に労働力不足が問題視されている今、企業にとって優れた人材を1人でも多く採用することは、重要かつ難しい任務になりました。
効率良く採用活動を進めるために注目されている採用ツールの一つに、採用パンフレットがあります。Webでの採用活動がスタンダードとなっている中で、採用パンフレットが人気を集める理由はどこにあるのでしょうか。
この記事では、採用パンフレットの基本的な知識とともに、作成時のポイントや採用パンフレットを導入している企業事例を紹介しましょう。
採用パンフレットとは
採用パンフレットとは、会社説明会などに集まった学生や求職者に対して企業が渡すパンフレットのことです。
会社案内を採用パンフレットとして使っている会社もありますが、会社案内には会社概要などの基本的な情報しか記載がないことが一般的であるため、求職者が求める情報が不足し、働く場所としての企業の魅力も伝えられないでしょう。
採用パンフレットには会社の基本的な情報・沿革・理念・事業内容の他、福利厚生や先輩社員インタビューなど、求職者が応募先を決める際の判断材料となる情報を記載する必要があります。
冊子タイプやリーフレットタイプなど紙媒体のものが多いですが、最近はオンラインで閲覧可能なデジタル形式のパンフレットを採用サイトに用意する企業も増えました。
採用パンフレットを作成するメリット
採用パンフレットを作成することで企業が得られるメリットには、下記のようなものがあります。
メリット１ 求職者に企業の魅力を伝える
採用パンフレットを使うことで、求職者に企業の魅力をアピールできます。採用パンフレットであれば、見たいと思った時に気軽に企業の情報が確認出来るでしょう。
特に会社説明会で採用パンフレットを配る場合は、求職者の興味が企業に向いている状態なので、採用パンフレットによってより興味を深めてもらいやすくなります。
メリット２ 求職者の企業に対する疑問を解決する
求職者は応募を検討している企業に対していくつもの疑問や不安を抱えているものです。しかし、応募前の企業に質問をする求職者は少ないでしょう。
採用パンフレットでこれらの疑問を解決できれば、安心して応募してもらえます。
メリット３ 社員の定着率が上がる
採用パンフレットは、入社後の社員の定着率も高められます。採用パンフレットによって正しい情報を求職者に開示することで、採用のミスマッチが発生しにくくなるためです。
つまり採用パンフレットは、応募者が入社後の業務内容や福利厚生などにギャップを感じ、すぐに退職するような問題を防ぎます。
採用パンフレットに掲載する内容
採用パンフレットを作成する際に、記載するべき内容について紹介しましょう。
１ 企業理念や事業内容などの会社概要
会社案内に記載されているような企業理念などの会社概要を記載します。求職者の興味を引くためには、創業時のエピソードや社長の理念も含めたストーリー性を持たせてください。
また、求職者に実際の仕事がイメージしやすいように、詳しい業務内容を記載します。業務内容の項目では、特に専門用語を使わずに分かりやすい言葉を用いることが大切です。実際の職場の様子を写真で載せるのも良いでしょう。
２ 福利厚生・待遇面
福利厚生や待遇面は求職者が知りたいと感じているものの、採用パンフレットなどがなければ正確な情報が得にくい部分です。会社独自の待遇が用意されている場合には、他社との差別化を図るためにも強調すると良いでしょう。
ただ福利厚生を並べるだけでなく、平均残業時間や福利厚生の利用率も記載すれば、職場環境がより明確になります。
３ 社外活動
多くの求職者は福利厚生・業務内容の他に、会社の雰囲気を知りたいと考えています。人間関係に問題が生じやすい職場はストレスフルで、誰にとっても避けたい職場であるためです。
社外活動は業務外での会社の様子を伝えるために有効です。懇親会やBBQなどの社外活動を写真付きで紹介することによって、会社の雰囲気が求職者に伝わるでしょう。
４ 先輩社員からのメッセージ
求職者は今企業で働いている先輩たちの声を聞きたいと考えています。先輩社員のメッセージがあれば、入社後にどのような業務を任されるのか、何年後にはどんな業務をしている方が多いのか、何にやりがいを感じているのかなどが分かるでしょう。
この際、あまりにありきたりなメッセージや会社を良く見せるための嘘を記載してしまうと、採用パンフレット自体の信憑性が薄まってしまうので注意してください。
５ 求職者に向けてのメッセージ
最後に求職者に対する思いや社員に求めるもの、企業が目指すものをまとめて伝えます。堅い言葉を使わないようにし、親しみやすさが感じられる文章にしてください。
さらに、長文ではなく簡潔な文章にすると良いです。
採用パンフレットを作成する際のポイント
採用パンフレットを作成する際には、下記のポイントに注意する必要があるでしょう。
ポイント１ 利用用途に合わせる
採用パンフレットは利用用途に合わせた内容やデザインにしなくてはいけません。作成のためにも数ヶ月間の期間が必要であるため、どこで利用する採用パンフレットであるかを決めておき、計画的に作成しましょう。
例えば会社説明会などでの活用を予定しているのなら、繰り返し読んでもらうことを前提として破損しにくい紙を使うべきです。
ポイント２ デザイン性を高める
採用パンフレットのデザインは企業のイメージを左右します。採用パンフレットは求職者へのブランディングツールであると考え、最適なデザインを用意しましょう。
パフレットの全体的なカラーはもちろん、使用する画像やイラスト、フォントにもこだわる必要があります。
採用パンフレットを活用している企業事例
ここからは、採用パンフレットを活用している企業事例を紹介しましょう。どの企業も企業イメージに沿った採用パンフレットを用意しています。
三菱重工
三菱重工株式会社では、毎年の採用パンフレットと動画をデジタル化し、サイトで公開しています。三菱重工らしい硬派でシンプルかつ洗練されたイメージに仕上がっており、社員のライフステージごとのワークライフバランスを考えた働き方の提案や、社員教育プログラムについて詳しい説明があるため、社員の育成や働きやすさに力を入れている企業だということがよく理解出来るでしょう。
大阪府警察
大阪府警察では、ブルーやイエローの爽やかなカラーを使って堅いイメージのある業務へのイメージを和らげ、親しみやすい印象に仕上げています。先輩社員の一日に密着する内容や福利厚生だけでなく民間の企業の給与水準との比較・充実した研修制度を提示することで、多くの求職者が抱えやすい疑問・不安を解決しています。
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/saiyo/keisatsukan_saiyo/4/4370.html
ヤマハサウンドシステム
ヤマハサウンドシステム株式会社では、ポップなイラストをメインとした採用パンフレットを作成しています。あえて多くの余白を残し、読みやすさを強調したことで、求職者からの興味が集まりやすいと言えるでしょう。
まとめ
採用パンフレットは、応募を検討している企業であれば必ず目を通すものです。ご紹介したポイントを参考に、企業のアピールポイントを伝えられるようにしましょう。
また、採用パンフレットの改善や求める人材の応募を増やすためには、採用パンフレットのどのページが閲覧されているかを把握できると便利です。よく閲覧されているページが分かれば、応募者が知りたい情報が分かり、採用パンフレットに充実させるべき情報や求職者にアピールする内容の改善に役立つでしょう。それには、資料の閲覧をトラッキングできる機能のあるツールを活用するのが便利です。自社に最適な採用パンフレットについて考えるのと併せて、便利なツールの活用も検討してみるといいでしょう。