人材育成に目標設定が大事な理由|目標達成に必要な管理方法

成長と存続を目指す企業にとって、人材育成は課題のひとつです。適切な人材育成が行われている企業では、優れた人材による企業の成長が期待できますが、人材育成が十分でない企業は成長が難しく、優秀な人材も集まりません。

このように企業の未来を左右する人材育成を成功させるには、「目標設定」が鍵になります。適切な目標設定にはより高い育成効果が期待でき、それは企業利益に繋がるでしょう。

そこで今回は、人材育成と目標設定に着目し、人材育成の目的や目標設定のポイントを詳しくご説明します。

目次

人材育成とは

人材育成とは、「企業が企業の成長に貢献できる人材を育てること」です。
人材育成として、業務の遂行に必要な知識やスキルを身に付けさせるために、企業は社員に教育を行います。知識やスキルが育てば、各社員は自発的に動き成果を残せる戦力となり、それは企業経営にとって有益なものになります。

人材育成とその質は、長期的な企業成長を目指すにあたって非常に重要なものです。近年では、社員自身が企業選択において人材育成を重視することも多く、優秀な人材確保のためにも、企業には人材育成プログラムの充実が求められています。

人材育成の目的

人材育成には複数の目的があります。そしてこれらの目的は、会社にとっても社員にとってもメリットとなります。
ここでは、人材育成を行う6つの目的について、順に説明していきましょう。

目的1 各社員の業務スキルの向上

人材育成の代表的な目的としてまず挙げられるのは、「社員の業務スキルを向上させること」です。

人材育成では、研修などを通して実務に関する具体的な知識やスキルを社員に学ばせます。実務知識やスキルを身に付けた社員は、担える業務の幅を増やしていき、やがて業務の質も向上させていくでしょう。

目的2 人材流出の防止

人材育成の体制が整っていない会社は、人材が流出しやすい傾向にあります。

特に早期退職は深刻で、せっかく入社しても人材育成の体制が整っていないために、周囲からフォローを受けられなかったり人間関係を築けなかったりして、退社してしまうケースが後を絶ちません。また、キャリアやスキル向上を目指す社員も、人材育成の体制が整っていない会社では成長できないと、退社を選ぶ傾向にあります。

転職が当たり前になった現在において人材流出を止めるには、人材育成によるフォローやキャリアアップのサポートが必要なのです。

目的3 生産性向上・業務効率化

目的1でも触れたように、人材育成により業務に関する知識やスキルが社員に共有され、身に付けられれば、各社員の業務レベルは上がります。
育成プログラムの中で、適切な業務の進め方についても周知されれば、業務の無駄も減るでしょう。

このようにして、人材育成を通し社員全体のレベルを上げることで、会社全体の生産性向上や業務効率化、均質化が期待できます。

目的4 会社の存続・成長

企業間の競争が激しい現在において、会社を存続し成長させていくためには、会社を構成する社員の成長が不可欠です。社員の成長はやがて利益となり、会社の存続と成長に繋がるでしょう。
このように、長い目で見れば、人材育成は会社の存続・成長をも左右する可能性があります。

目的5 リーダーやマネージャーの育成

人材育成は、新人教育のためだけではなく、経験を積んだ中堅社員のスキルアップのためにも行われます。特に、組織のリーダーを務めたり部下のマネジメントを適切に行ったりするには専門的知識が必要になるため、リーダーおよびマネージャー育成のプログラムは、中堅社員の人材育成において必須でしょう。
中堅社員にリーダーやマネージャーとしてのスキルを身に付けさせるためにも、優れたリーダーによる統率やマネジメントによる部下の成長のためにも、リーダー・マネージャー育成は重要です。

目的6 モチベーション・エンゲージメントアップ

人材育成では、社員のモチベーションやエンゲージメント(会社に対する愛着)アップも重視されます。人材育成の中で、期待を伝えたり、目標を持たせたり、成果を評価したりすることで、社員のモチベーションやエンゲージメントは向上します。

仕事に対するモチベーションや会社に対するエンゲージメントは生産性や職場の雰囲気にも影響を与えるものであり、これらの向上は人材育成における重要な目的のひとつです。

人材育成に目標設定が大事な理由

人材育成を効果的に行うには、適切に目標設定を行うことが大切です。
それには、大きく2つの理由が挙げられます。

1 目標設定はモチベーションアップに繋がる

目標設定は、育成対象の社員のモチベーションを向上させます。
ただし、それは達成可能な目標に限ります。達成不可能な目標は、逆にモチベーションの低下を招く恐れがあります。

達成可能な目標設定は、「どうにか目標をクリアしよう」という社員のやる気を引き出し、業務に対する主体性を向上させます。これにより優れたパフォーマンスが引き出されることで、社員の成長も期待できるでしょう。

2 人材育成の効果を判断するため

目標設定は、育成対象の社員の成長度を可視化したり、育成プランの妥当性を確認したりすることも目的としています。目標という具体的ゴールの設定が、人材育成そのものの成果を表すためです。
努力した結果、設定した目標をクリアできたり、目標にやや届かなかったりした場合はともかく、簡単にクリアできたり、全くクリアできなかったりした場合には、目標設定や育成プランを見直す必要があるでしょう。

目標設定をする際のポイント

人材育成のために効果的な目標設定をするには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここからは、目標設定のポイントを4点ご紹介しましょう。

ポイント1 まず企業としての目標や方向性を共有する

目標設定を行う前に、まずは企業として目指す目標や方向性を、育成対象の社員と共有する必要があります。各社員が設定する目標の方向性と企業の方向性を統一するためです。方向性が統一されれば、企業の求める成果を期待できるとともに、組織全体の信頼関係やモチベーション、チームワークも向上するでしょう。

ポイント2 達成可能で具体的な目標を設定する

目標設定では、現実的に達成可能で具体的な内容の目標を、明確な期限を決めて設定するようにしましょう。
ここで達成不可能な目標を掲げてしまうとモチベーション維持が難しく、また具体的な内容や期日がなければ目標に向けた行動が曖昧なものになってしまいます。「〜を達成するために、〜日までに〜を〜件行う」 というように、具体性を意識した目標は、達成のための行動が取りやすく、モチベーションも保たれます。

ポイント3 KPIで表せる目標を設定する

目標には、KPIで表せる数値を入れ込むと効果的です。KPIとは、重要業績評価指標とも呼ばれ、目標に対する達成度を数値として計る指標のことを指します。例えば、アポイント件数や顧客訪問件数、成約率、来店者数、顧客満足度などは、ビジネスにおけるKPIの一種です。
KPIを目標設定に取り入れれば、達成度が把握しやすく、達成度に応じた対応も取りやすくなります。

ポイント4 進捗状況を可視化する

目標を設定しただけでは、効果的な人材育成は行えません。目標設定後には目標に向けた進捗状況を把握し、状況に応じて行動していくことが求められます。
そのためには、進捗状況を可視化する仕組みを作り、常に確認できるようにしておくことが大切です。必要に応じてツールを用いるなどし、育成対象社員と育成担当者との間で進捗状況をシェアするようにしましょう。

目標達成に向けた管理・運用方法

目標達成に向けて活動が開始されてからは、以下のような方法で目標に向けた活動を管理し、必要に応じて改善していくことで、人材育成としての効果は向上します。

定期的な状況確認を行う

目標達成に向けての活動が開始されたら、定期的に状況確認を行うことが大切です。
本人だけではなく、育成担当者とも進捗を確認しあい、必要に応じてアドバイスを受け、軌道修正を行いましょう。
定期的な状況確認はモチベーションの維持にも繋がります。毎週、隔週などペースを決めてミーティングを行い、目標に向けた行動を再認識すると良いでしょう。

目標達成後には過程を振り返り、フィードバックを受ける

目標を達成した後には、それで満足するのではなく、目標達成までの過程を振り返ることが大切です。評価すべき点や改善すべき点を見直し、育成担当者からもフィードバックを受けましょう。
このような振り返りやフィードバックを次の目標に生かすことが、社員のレベルアップへと繋がります。

まとめ

目標設定は、人材育成の成果を左右する重要な要素です。目標設定・運用ともに、完全に各社員に任せてしまうのではなく、育成担当者の管理のもと、アドバイスや軌道修正を加えながら進めていくようにしましょう。

また、人材育成には目的に応じてツールを用いるのが効率的です。ツールにはさまざまな種類がありますが、例えば人事用ツールは目標管理に、情報共有ツールはノウハウの育成に役立つでしょう。このようなツールは育成担当者とのやり取りやグループワークにも活用しやすく、人材育成をよりスムーズにします。育成対象の社員のモチベーションを保ち、育成担当者の負担を減らすためにも、適切なツール導入を検討しましょう。

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