マニュアルと手順書の違いや役割、作り方のコツを解説

マニュアルと言えば多くの企業で新人教育などに使われているツールですので知らない人はいないでしょう。では手順書とはどういったものなのでしょうか?

マニュアルと手順書の違いを確認すると共に、その必要性と作り方の違いについて確認していきましょう!

目次

マニュアルとは?

まずマニュアルとは、例えば仕事のマニュアルの場合は「業務全体」のことや「業務そのもの」についてまとめた文書です。

「業務」とは複数の作業と判断の組み合わせだと定義されますので、マニュアルには業務を円滑に進めるための手順や規定・規則などが総合的に記載されています。
理想とされる記載内容には次のようなものが挙げられます。

・経営方針、経営理念、組織の構成などの前提知識
・組織図、仕事の流れ、注意事項、処理方法など
・業務に関する各種基準(目安となる時間や合格ライン、品質の指標など)

つまりは単純に業務そのものだけではなく、会社自体のことや組織のこと、全体的な業務の流れなどが記載されているのがマニュアルということになります。

マニュアルの種類

一口にマニュアルといってもたくさんの種類があります。
仕事のマニュアルだけでも
・規範マニュアル(経営方針、経営理念に基づく企業のあり方や行動規範など)
・業務マニュアル(個々の仕事を円滑に行うことができるようにするための手順など)
・OJTマニュアル(職場内訓練を行う際のマニュアル。指導者向けと学習者向けにそれぞれマニュアルがある。)
・危機管理マニュアル(不測の事態が起こった際の対応基準や行動指針)
などがあります。

他にも取扱説明書、教材などもマニュアルに挙げられます。
身近なところにもマニュアルが存在しているということです。

手順書とは?マニュアルとの違い

では手順書とは何かというと、手順書は作業を行う人が「確実で安全な作業手順を踏める」ようにまとめた文書です。作業標準書・作業手順書などと呼ばれることもあります。

マニュアルが全体的な業務の流れを記載した文書であるのに対して、手順書は業務の中のうち「1つの作業」の手順を記載した文書です。
例えばレジの業務は「お客様の接客」「商品のスキャン」「会計」という流れで行われます。このうち「会計」の工程はさらに「お金を預かる」「ポイントカードを通す」「金券の処理をする」「おつりを返す」などの細かい業務に分けられます。

業務マニュアルはレジの接客から会計までの全体の流れ、手順書はこのうちの「おつりを返す」などの細かい「1つの作業」について記載された文書ということになります。
具体的にはこの「おつりを返す」作業についてのレジの操作の仕方やお金の数え方、お金をお客様の手に置く際の置き方など、使用する道具や細かい動作などについて書かれています。
これが手順書です。マニュアルという大きなくくりの中の小さな1つと言ってもいいでしょう。

マニュアルと手順書、作り方の違い

マニュアルも手順書も共通して「わかりやすい内容で伝わる」ように気をつけて作ることが大切です。
わかりやすく作るためには、次のポイントを押さえることが必要です。

・5W1Hがわかるように意識して作成する
・画像やイラスト、フローチャート、動画などを使って視覚に訴える(文章のみだと理解しづらい)
・シンプルに作成する(必要な情報を簡潔に伝える)
・読み手に合わせる(例えば新入社員に対するマニュアルを作成する場合に難しい言葉を使わないなど)

特に手順書については誰もが同じ作業を行える内容でないといけませんので、さらにわかりやすく、気をつけなければならないポイントが多いのです。

手順書の作り方

手順書は業務の流れの中の小さな1つ単位ですので、これが行えないと大きな流れに影響します。そのため誰が読んでもわかる、読めば全員が同じ作業を行うことができるといった内容で作成する必要があります。
手順書の内容を「小学生ぐらいの子供でも理解できる」程度でなければならないと表現することもあることから、わかりやすさが大切だということがよくわかります。
また、使用する道具や機械、手順などの漏れがないように作成しなければなりません。

ではどこに気をつけて作成していけば良いのかチェックしていきましょう。

●作業の名前と目的
レジの例を引き続き使うと、例えば「ポイントカードを通す」という作業の名前の目的が「お客様にポイント付与をすること」「顧客情報を得ること」といったように作業の名前と目的を記載します。

●作業に必要なもの
ではポイントカードを通すために必要なものは何でしょうか。
それは「ポイントカード」と「レジ」「カードリーダー」です。

●作業の解説
実際にどのように作業を行うかを記載します。
「カードの磁気の面を下向きにして矢印の向きでカードリーダーに挿入する」といった具体的な作業方法を書くことがポイントとなります。

●作業の基準
作業にかかる時間や合否ライン、ポイントなどを記載することで作業ができているかどうかをセルフチェックさせることができます。
例えば合否ラインとして「正しく読み込むためにカードリーダーのランプが緑色に変わることを確認する」「レジにポイントカードの読み込みがなされたメッセージが出ているかを確認する」、ポイントとして「しっかりと奥まで差し込むこと」などを記載しておきます。
そのことで作業を確実・スムーズに行い、ミスが起こらないようにします。

手順書を作るコツ

手順書をさらにわかりやすくするために、文書を作成する際のコツを知っておきましょう。

●作業全体の流れを作成する

まずは作業の全体像がわかる作業フローを作成します。
点だけ見てもわかりにくいので、何の作業の一部かをわかるようにしておくためです。

●読み手を意識する

誰がその手順書を使うのかを意識して記載していきます。
前述したように新入社員に対して、難しい言葉を使ってしまうとわかりにくくなってしまいます。
逆に何年も働いている人に対する手順書に新入社員の手順書のような内容を記載してしまうと無駄が多くなります。
そのため誰に対する手順書なのかという点は重要です。
ただし、全員が読むような手順書であれば新入社員でも理解できるレベルで記載することがポイントです。

●読みやすい記載内容にする

まずは端的に記載することです。
だらだらと長い文章だと読みづらく、読むのが嫌になってきてしまいます。

例えば「レジにお客様が来たら、まず「いらっしゃいませ」とお声かけをして一礼をします。そして商品をスキャンしてカゴに移していきます。その際に気をつけるべきポイントとしては…」と書かれても、スッと頭に入ってきません。

そのため“一文一作業”を心がけると良いでしょう。
レジにお客様が来たら
①「いらっしゃいませ」とお声かけする
②一礼する
③商品をスキャンし、カゴに移す…
このように記載した方が読みやすいのではないでしょうか。

また、専門用語などを使用する際は略称を使うことがありますが、なるべく控えるか、別途わかりやすいところに正式名称や内容を記載することが大切です。
「JANを読み取り」と書いてあってすぐにわかる方がいるでしょうか?JAN(ジャン)というのは「Japanese Article Number」の略で、簡単に言うとバーコードのことです。「JANを読み取る」=「バーコードを読み取る」ということです。いちいちJANの正式名称を書くと読みにくくなりますので、はじめにJANという言葉を使う際に「JAN(※)」などとして別途JANについて記載しておく必要があるでしょう。

このように、細かい内容で作成されるのが手順書です。マニュアルとの違いがおわかりいただけたでしょうか。

まとめ

マニュアルは会社全体や業務全体などについて記載したもの、そのうち細かい業務のひとつについて記載されたものが手順書ということがわかりました。何を作ろうとしているのかを把握することはできたでしょうか?

どこから手をつけて良いのかわからない、内容を要領よく記載するためにはどうしたらいいのか…などお悩みの場合はマニュアルツールの使用がおすすめです。

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