業務標準化で組織の生産性と業務効率を向上|マニュアル活用術

業務標準化は、業務をより円滑で質の高いものにするために効果的です。有効な事業戦略を練るために欠かせない手段として、経済産業省も標準化の活用を推奨しています。

とはいえ、業務標準化は具体的にどのようなことを指すのか、どのようなメリットがあるのか、またどのように進めれば良いのかと、業務標準化について疑問を持っている方は多いでしょう。そこで今回は、業務標準化について、概要や必要な理由、メリット、手順等詳しくご紹介します。

目次

業務標準化とは

業務標準化とは、標準とする業務の進め方を組織内で定め、その進め方を従業員に徹底させ、全ての従業員が標準の進め方に沿って業務を行うようになることを指します。

業務標準化にあたって、組織は業務効率や品質、安全性等を総合的に勘案して業務フローや手順等を定め、最適な業務の進め方を決定します。
決定した最適な業務の進め方は、多くの場合マニュアルとしてまとめられます。マニュアルの内容は、Webツールや冊子などを通して従業員に共有されることで浸透し、社内全体の業務効率化は進められていきます。

ただし、業務標準化の推進は、マニュアルの内容を従業員に周知させるだけでは不十分です。マニュアルに定められた業務の進め方を従業員に徹底させるためのマネジメントや、必要に応じたマニュアル内容の編集も、最適な方法による業務標準化を進めるためには必要でしょう。

業務標準化が必要な理由

ビジネスにおける業務標準化は、国からも推奨されています。では、なぜ業務標準化が必要なのでしょうか。

業務標準化が必要な理由はいくつかありますが、その中で最も重要なのは、「属人化解消」と「業務品質のバラつき解消」でしょう。

理由1 仕事の属人化解消

仕事の属人化とは、「ある仕事を特定の人しかできない状態」を指します。
標準化していない仕事は、担当者が自分のやり方で進めていくようになり、やがて属人化してしまいます。仕事が属人化してしまうと、担当者がいなくては仕事が回らなくなるため、担当者の負担は大きくなり、業務効率も落ちます。また、属人化による不正やミスのリスクも高まります。
この仕事の属人化を解消するためには、業務標準化が有効です。

理由2 業務品質のバラつきを解消するため

業務は「誰がやっても同じ品質で提供できる」ことが理想です。
しかし、業務のやり方や手順が統一されていない以上、提供製品・サービスの質や作業にかかる時間など、業務品質に従業員ごとの差が生まれてしまいます。業務品質の差は、業務効率を低下させるうえ、会社の信頼性を損ねる可能性もあります。
この業務品質のバラつきを解消するにも、業務標準化は有効です。

業務標準化のメリット

業務標準化によって得られる主な5つのメリットをご紹介します。

メリット1 属人化リスクの解消

業務標準化を行うと、それまで担当者しかやり方がわからなかった仕事が、誰にでも理解できるような文字や図表で可視化されるようになります。すると、可視化された情報を確認することにより、誰もがその仕事を進められるようになり、仕事の属人化を解消できます。

仕事の属人化が解消されれば、担当者不在時の仕事の滞りや担当者の負担増加、仕事のブラックボックス化によるミスや不正の発生などといった属人化リスクも解消されます。

メリット2 業務の効率化

業務標準化では、業務の最適なやり方を標準として定めます。非効率なやり方やミスの出やすいやり方を行っていた従業員も、業務標準化後はもっとも効率的で品質性や安全性が保証されたやり方に準ずることになります。
これにより、業務にかかる時間やミスは減少するため、業務効率化の推進が期待できます。

メリット3 高い業務品質を維持できる

業務標準化は、高い業務品質を維持できるようになる点もメリットです。
業務を標準化していないと、やり方や手順が従業員ごとに異なることで、従業員による業務品質のバラつきが出やすくなります。しかし、標準となる最適な業務のやり方や手順を定めれば、誰もが同じ品質の業務を同じ時間でできるようになり、業務の均質化を高いレベルで維持できます。

全ての従業員が同じ業務品質を保てれば、急な欠員の穴埋めもしやすく、人材配置も行いやすくなるでしょう。

メリット4 社員全体のレベルアップ

業務標準化は、社員全体のレベルアップにも繋がります。それまで担当者しかできなかった仕事の内容が明示されるようになることにより、より多くの社員がより幅広い種類の仕事を理解し、実行できるようになるためです。

社員全体の業務レベルが上がれば、レベルの高い会社として企業価値も向上するでしょう。

メリット5 ノウハウの蓄積と継承がしやすくなる

経験の中で培った仕事のノウハウは、文字や言葉にしにくく、伝えていくことが難しい知識です。しかし、業務標準化として会社全体でノウハウの明示化に取り組み、ノウハウを蓄積していくシステムを構築すれば、ノウハウの継承は行いやすくなります。
この代表的な手段としてはマニュアル作成が挙げられます。業務標準化に伴い、個々の持つノウハウをうまくマニュアル化すれば、その内容は企業の財産として活用していけるでしょう。

標準化に伴うノウハウのマニュアル化は、人材流出によるノウハウの流出予防にも効果的です。

業務標準化すべき業務

業務標準化は、全ての業務に対して実施しなければならないわけではありません。特に、創造力や発案力が求められるようなクリエイティブ業務に関しては、業務標準化を実行することも、それにより成果を出すことも難しいでしょう。

業務標準化すべき業務は、「誰が行っても同じ品質の提供を求められる業務」です。具体例としては、経理や総務などの事務業務や顧客からの問い合わせ対応が挙げられます。
事務業務は、誰がやっても同じ成果を出さなくてはなりません。経理や総務などは専門的で複雑な手続きを担うことも多く属人化しやすい業種ですが、業務標準化を実行すれば属人化は解消され、より効率的に業務を進められるでしょう。

また、顧客や取引先からの問い合わせ対応についての業務標準化は必須です。担当者によって問い合わせへの対応が異なれば、顧客や取引先からの信頼を損ねてしまう恐れがあります。問い合わせに対する対応の手順と内容は標準化して共有し、一律化すべきでしょう。

業務標準化を行うための手順

業務標準化の基本的な手段は、マニュアルを整備し運用していくことです。マニュアルに標準化した業務内容を明示し、従業員に共有・活用させることで、業務標準化は進みます。
ここでは、業務標準化においてマニュアルを導入する手順をご紹介しましょう。

手順1 目的と現状、問題点の把握

業務標準化を進めるにあたっては、まず業務標準化の目的を明確にした上で、現状の業務状況と問題点について把握する必要があります。
必要に応じて担当者からのヒアリングを行いながら、現状を的確に把握し、問題点を洗い出しましょう。

手順2 標準化すべき業務の選定

次に、現状と問題点を踏まえ、標準化すべき業務の選定作業に入ります。属人化している業務や品質のバラつきがある業務を中心に、「誰が行っても同じ品質の提供を求められる業務」については最終的に完全標準化すべきでしょう。

ここまでの作業は、マニュアル作成の準備段階ではあるものの、業務標準化の効果を左右する重要な工程です。時間をかけて慎重に行うようにしましょう。

手順3 業務マニュアルの作成

業務効率や品質、安全性等を総合的に勘案した最適な業務フローや作業手順、トラブル対応の方法、注意点などを整理して明文化し、マニュアルを作成します。ここでも、現場の担当者からの意見を反映する必要はあるでしょう。

また、マニュアル作成にはある程度の手間がかかりますが、既存のマニュアル作成ツール等でマニュアル作成を行えば作業効率は上がります。事前にツール導入についても検討しておきましょう。

手順4 業務マニュアルの運用

業務マニュアルが完成したら、まずはスモールスタートで運用し、改善を経て、本格運用に入ります。
その後は必要に応じて編集を重ねながら、従業員にマニュアルに沿った業務遂行を徹底させるようマネジメントを行い、業務標準化を推進します。

まとめ

業務標準化は、企業運営の非効率を解消し、多くのメリットをもたらします。さらに、高い質の製品・サービス提供や一律の問い合わせ対応は、顧客満足度も高めるでしょう。
企業にとっても顧客にとっても、企業の業務標準化は大きなメリットになるのです。

また、マニュアル整備は、業務標準化における代表的な手段です。
マニュアル整備にあたっては、一から自社構築するだけでなく、既存のマニュアル作成ツールの活用も検討しましょう。マニュアル作成ツールは、マニュアルを整備運用する側にとっても、マニュアルを活用する側にとっても、使いやすいのが特徴です。また、自社構築の場合に比べ、費用も時間も節約できます。

ツールには多くの種類があります。ツールごとの機能や費用をよく比較した上で、自社のニーズに合うものを選択すれば、標準化効果の高いマニュアル整備ができるでしょう。

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