売上向上の切り札!ナレッジマネジメントで暗黙知を見える化し、無駄な業務を改善

効率的な企業活動やより大きな企業利益のためには、あらゆる対象における「見える化」が欠かせません。実際に、「見える化」は多くの企業で推進されています。このように、近年頻繁に使われるようになった「見える化」という言葉。しかし、その具体的な意味を理解できていない人は意外に多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、「見える化」の意味と目的について詳しくご紹介します。

目次

見える化とは

まずは、「見える化」の意味について見ていきましょう。

「見える化」は問題解決のための情報視覚化

「見える化」とは、企業活動の現状や進捗状況、成果などといった情報を、常に見える形にすることです。既存の問題に対して実行され、情報を見える形にすることで、解決を目指します。また、組織の業務改革・改善に対する取り組み自体のことを「見える化」と呼ぶこともあります。

「見える化」と「可視化」は違う

「見える化」と「可視化」はほぼ同じ意味の言葉であり、混同して使用されることも少なくありません。同じ意味として記載されている辞書も存在します。
ただし、「見える化」と「可視化」という言葉には、正確には以下の表のような違いがあります。

見える化 可視化
使用分野 ビジネス 一般的に幅広く使用される
状態 常に(強制的に)見える状態 見たい時に見られる状態
目的 既存問題解決のため 可視化自体が目的

「見える化」はビジネスにおける問題解決施策として使用される言葉であり、「可視化」は単純に物事を視覚化することを指す言葉だと言えるでしょう。

見える化の5つの目的

ビジネスにおける見える化は、主に以下の5つの目的を持って実行されます。

1 暗黙知を全体に共有する

見える化の目的としてまず挙げられるのは、「暗黙知 (※1)の共有」です。暗黙知は、重要な知識ではあるものの、感覚的な要素が強く、言葉や数字で伝えにくいという特徴を持ちます。ベテランの職人が持つ技術などを想像すると、わかりやすいでしょう。

しかし、この暗黙知を見える化して全体に共有することができれば、全ての従業員が、ベテランが持つようなレベルの高い知識を持てるようになります。従業員全体の知識レベルが上がれば、業務効率や業務の質も向上するでしょう。

ただし、前述の通り、暗黙知は言葉や数字に表しにくく、暗黙知の見える化は簡単な作業ではありません。暗黙知を適切に見える化するためには、暗黙知を持つ職人や従業員の協力を得ながら、最適な表現を議論し、模索していく必要があります。

暗黙知の見える化は、「暗黙知の型式知 (※2)化」「ナレッジ (※3)の共有」などとも呼ばれます。これらは近年、従業員のレベルアップや企業価値向上のために有効とされ、注目されています。

※1暗黙知とは
個人や組織が持つ、言葉や数字では表しにくい知識のこと。勘や感覚など。

※2型式知とは
言葉や数字で表せる、表した知識のこと。明示的知識。

※3ナレッジとは

組織にとって有益な知識やノウハウ。企業にとって付加価値のある情報。「knowledge(ノウレッジ)」から派生した和製英語。

2 個人の成果の把握

見える化は、「個人の成果を把握する」という目的でも利用されます。個人の業務における成果を見える化し、組織内で共有することは、従業員全体のモチベーションアップに繋がります。成果を評価された従業員はもちろん、それに刺激を受けた他の従業員のモチベーションも向上するでしょう。

また、部署や担当によっては成果が見えにくい業務内容も存在します。例えば、経理や人事といった事務業務などです。組織全体のモチベーションを上げるためには、営業など成果を表しやすい業務だけではなく、成果が見えにくい業務担当者のための基準を設けることも大切です。「事務処理時間」「事務処理件数」「ミス件数」など、業種別のKPI (※4)項目を用いるのもひとつでしょう。

このように、例外なく個人の成果を見える化し、共有・評価することは、業務への意欲や満足に繋がります。ただし、それがストレスになるケースもあるため、見える化の手法には工夫が必要です。

※4 KPIとは
重要業績評価指標。目標に対する達成度を数値として計る指標のこと。

3 無駄な業務を改善

「無駄な業務の改善」にも、見える化は有効です。具体的には、「業務プロセスを見える形にすること」や、「業務の全体像を見える形にすること」が、無駄な業務改善のための見える化だと言えるでしょう。

業務プロセスを見える形にするためには、各従業員が抱える仕事の進捗状況や組織で進めているプロジェクトの進捗状況を見える化する必要がありますこれにより、進捗が滞っている従業員がいれば、上司や他の従業員がサポートに入るなどして、速やかなフォローや指導を行えます。また、承認書類がどこで止まっているのか一目で把握することも可能でしょう。業務プロセスを見える化することは、効率性や生産性向上に効果的です。

また、業務の全体像を見える形にするにあたっては、まず現状の業務フローや手順、作業内容を洗い出すことから始めます。この中から効率的でない手順や無駄な作業を排除し、最適な業務フローや手順、作業内容、必要な人数、スキルなどをまとめたマップやマニュアルを作成・共有すれば、それは業務全体像の見える化になります。マップやマニュアルの共有によりその内容は標準化され、無駄な手順や作業をなくすことができるでしょう。

「業務プロセス」および「業務全体像」の見える化のために、一からシステム構築を行うのはハードルが高いですが、既存の情報共有ツールを利用すれば、これらは比較的手軽に実行できます。

4 売上向上

「売上向上」のための見える化は、もっともイメージしやすい施策のひとつでしょう。

売上を向上させるためには、顧客ニーズの的確な把握とそれに応じた製品・サービス提供、つまりマーケティングが必要です。マーケティングには、顧客データの見える化が有効です。例えば、顧客属性や購買履歴を見える化すれば、ターゲットごとに有効だと予想されるアプローチを行えます。また、売上や来店客数などの動向を見える化することにより、予測や法則性を導き出し、それに応じた対応を取ることもできるでしょう。

顧客像や動向の見える化は、マーケティングにおいて必須であり、売上向上や顧客満足度向上に繋がります。

5 企業方針の明確化

「企業方針や理念を明確化」するためには、企業方針や理念の見える化が有効です。

企業方針や企業理念は実務に埋もれてしまいやすい傾向にあります。しかし、文字や数字で明確に表現したり、またその内容を従業員に再認識させる機会を定期的に作ったりすることによって、企業方針や理念を見える化すれば、その内容に対する従業員の理解は深まります。

企業方針や理念の見える化においては、漠然とした内容ではなく、より具体的な内容で表現することが重要です。企業として「何をしようとしているのか」「どんな手段を取りたいのか」「何を使命と考えるのか」という点を、身近な目標や具体的な行動指針を添えてわかりやすく表現し、方針や理念を見える化しましょう。

企業方針や理念の見える化がなぜ必要なのかというと、それは企業と従業員の方向性を一致させるためです。企業と従業員の方向性が異なる場合、最大限のパフォーマンスによる企業の利益や成長は見込めません。一方、企業と従業員が目的をともにし、同じ方向を向いて行動した場合、通常のパフォーマンス以上の結果が出ることも期待できます。

全従業員による企業方針や理念の理解は、企業経営にとって非常に重要であり、そのための手段として見える化は効果的なのです。

まとめ

「見える化」は、企業利益を追求するためのあらゆる目的を叶える手段として有効です。顧客情報や成績の見える化はすっかり一般的になっていますが、今後はより効率的で無駄のない業務遂行のため、ナレッジや業務プロセス、企業理念などの見える化も進められていくでしょう。

また、見える化推進・活用のためには、専用システムやツールを利用するのが効率的です。ただし、自社でシステムを構築するにはコストも時間も必要になります。そこでおすすめしたいのが、マニュアル作成ツールや情報共有ツールをはじめとした既存ツールの導入です。既存ツールは自社構築に比べ手軽な導入が可能で、使い勝手にも優れています。例えば、マニュアルを作成して業務の全体像を見える化したり、プロジェクト管理機能を用いてプロジェクトの進捗を見える化したりということも、ツールを用いれば可能です。

見える化による目的と手段を明確にした上で、適したシステムやツールを導入すれば、効率的な見える化が進められるでしょう。

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