会社の利益を最大化するために、あらゆる会社では経費削減を目指しています。経費削減は、会社の競争力アップにも影響する重要な経営施策です。
では、経費削減を効果的に行うにはどうしたら良いのでしょうか。
今回は、効果的に経費削減を行うための流れや具体案、注意点などをご紹介します。
経費削減が必要な理由
経費削減が必要な理由は、経費削減が会社の利益や競争力アップに繋がるためです。
経費は、削減した分会社の利益になります。売上が上がらなくても、商品の値段を上げなくても、経費を削減することで会社の利益を上げることができるのです。
現在の厳しい企業間競争を鑑みると、売上の大幅アップは難しく、商品の値上げは消費者離れに繋がりかねません。まずは、自社経費の無駄をカットすることで、競争化社会においても利益を確保し、会社の価値や競争力を高めていくことが必要です。
3つに大別されるコスト
会社の運営でかかるコストは、大きく3つに分けられます。
１ オペレーションコスト
オペレーションコストとは、いわゆる人件費のことです。
企業の健全な経営のためにも、安易に人員を削減したり給与を減らしたりすることはできないため、人件費はコストカットしにくい項目です。
２ オフィスコスト
オフィスコストとは、オフィス環境において必要になるコストのことです。オフィス賃料や紙・印刷代、文具やトイレットペーパーなどの日用品費、機械のリース料などは、オフィスコストにあたります。
オフィスコストは、節約を意識することで削減しやすい項目です。
３ エネルギーコスト
エネルギーコストとは、電気代やガス代、水道代など、オフィスで使用するインフラにかかる費用のことを指します。
近年は電力会社が自由化されたり多様なプランが発案されたりしているため、エネルギーコストの見直しが大きなコストカットに繋がることもあります。
経費削減案を立てる具体的な流れ
経費削減案は、以下のような工程を経て、作成から実行へと進めていきます。
STEP1 経費削減を行う項目の選定
経費削減を行う項目を選定します。
まずは、経費に占める割合が大きいもの、または削減を実行しやすいものに的を絞ると良いでしょう。
STEP2 コストの分析
項目の的を絞ったら、コストの詳細を分析していきます。
コストとその内容をよく分析し、具体的に削減可能な部分を見つけ出します。
STEP3 経費削減案の作成・目標設定
「どのように経費を削減していくか」具体的な経費削減案を作成します。ここで目標設定も行いますが、目標は無理なく達成可能なレベルのものを掲げましょう。
STEP4 従業員への周知
経費削減案を共有し、具体的にどのような行動を求めるのか従業員に周知します。従業員の理解を得なければ、経費削減はうまくいきません。
STEP5 経費削減の実行
経費削減案に沿って、経費削減のための行動を進めていきます。目標に対する進捗や従業員の反応などを定期的に調査し、必要に応じて改善を行いながら、経費削減を進めていきます。
経費削減のアイデア7選
経費削減に有効なアイデアを7つご紹介します。経費削減だけでなく業務効率化にも効果的なものが多いので、これらのアイデアは今後積極的に取り入れていくべきでしょう。
①ペーパーレス化を推進する
書類をデータ化し、業務の進行をペーパーレスで行うことは、経費削減に有効です。書類を全てデータでやりとりできるようになれば、コピー代や印刷代、書類保管のための人件費や場所代もカットすることができます。
手渡しや郵送など、紙の書類ならではの面倒な手続きも減り、業務も効率化できるでしょう。
②光熱費・水道代・通信費を節約する
光熱費や水道代、通信費は、どうしても必要になるコストですが、節約意識によってコスト削減することはできます。会社全体で節電・節水を意識すれば、無駄な光熱費や水道代は減らせるでしょう。
また、通信費についてはプランを定期的に見直すことが大切です。古いプランのまま高い通信費を支払っているケースも少なくはありません。
③オフィス賃料を下げる
事業経費において大きな部分を占めるのが、オフィス賃料です。賃料を節約できれば、毎月の経費を大きく節約できます。
オフィスが広すぎるならオフィススペースを縮めて賃料を交渉したり、メリットがあるようならオフィスの引っ越しを考えたりしても良いでしょう。ただし、その場合、引っ越しに大きな費用がかかります。
また、コロナ禍におけるテレワーク化によって、オフィスを廃止する企業も出てきています。近年ではレンタルオフィスなども多くなっているので、時代に合った柔軟な働き方を取り入れるのもひとつの手です。
④交通費・出張費の見直し
交通費や出張費は、経費の中でも額が大きい項目です。申請のたびに、「必要な出張か」「適切なルートでの出勤における交通費か」よく確認しておいた方が良いでしょう。
また、テレワークをメインの働き方とすることにより、交通費や出張費はかなり節約できます。
コロナ禍においては、経費削減だけでなく従業員の安全を守るためにも、テレワークの導入を検討するのがおすすめです。
⑤消耗品費を抑える
文具類や日用品など、オフィスで使用する消耗品を節約することも、経費削減になります。消耗品の価格を見直すことはもちろん、無駄な使用を減らして消費量を節約することも大切でしょう。
ただし、消耗品費を抑えるには、従業員の理解と協力が必須です。一人一人の意識によって、消耗品費のカットは可能になります。
⑥業務のアウトソーシング・自動化
業務のアウトソーシングや自動化により、人件費を削減することも、経費削減方法のひとつです。
経理業務や会計業務などをアウトソーシングすれば、社内の人件費を削減できます。委託先の会社に対しては、仕事内容や業務量に応じた支払いになるので、自社社員への給料を毎月固定費として支払うよりもコスト削減になる可能性があります。
また、RPAなどを導入して定型業務の自動化を行えば、人件費カット以外にも、作業速度や正確さの向上といったメリットも期待できます。
⑦人件費の費用対効果を上げる
人件費の費用対効果を上げるには、従業員ひとりひとりの生産性を向上させなければなりません。
マニュアルや情報を共有できる仕組みを作って従業員のスキルを上げたり、データ化推進によって業務効率を上げたり、アウトソーシングや自動化によって従業員が他の仕事に集中できる環境を作ったりと、さまざまな施策によって従業員の生産性を上げれば、人件費の費用対効果は向上します。
経費削減を進める際のポイント
経費削減を進める際のポイントを3つご紹介します。
ポイント１ 経費削減を目的にしない
経費削減には、企業利益の向上による給与アップや競争力アップなど、目的が必要です。経費削減自体を経費削減の目的にしてしまっては、従業員はただコストを削れば良いと、必要なコストまで削ってしまう恐れがあります。従業員の負担も大きくなるでしょう。
このような経費削減は、事業や従業員にダメージを与え、うまくいきません。
ポイント２ 製品やサービスの品質を落とさない
経費を削減したいからといって、製品やサービスの品質を落としたのでは、会社は顧客や社員からの信頼性を失ってしまいます。
製品やサービスの質は、経費削減すべき項目ではありません。経費削減はあくまで「無駄をカットする」ことに意味があるということを、念頭に置いておきましょう。
ポイント３ 従業員の理解を得る
経費削減を進めるために、従業員の協力は必須です。削減案に対する従業員の理解を得た上で、実際に経費削減を進めることが大切です。
理解を得ずに一方的に経費削減を押し付けた場合、従業員の十分な協力は得られず、経費削減は思うように進まないでしょう。
また、従業員の負担が大きくなれば、モチベーションやエンゲージメントが低下する恐れもあります。従業員の理解を得るためには、従業員にもメリットとなるような目的を持った経費削減が必要です。
まとめ
経費削減は、企業の競争力を高めるにあたって必要な施策です。日頃の意識はもちろん、便利なサービスやツールを用いて無駄をなくし、効果的な経費削減を目指しましょう。
また、経費削減に有効な書類のデータ化や従業員のスキルアップには、情報共有ツールの活用が有効です。情報共有ツールを用いれば、あらゆる書類をデータとしてツール上で管理でき、マニュアル機能やコミュニケーション機能により従業員のスキルも高められます。
スムーズなコミュニケーション機能によって会議室のように使える情報共有ツールは、テレワーク推進にも役立つでしょう。
情報共有ツールの導入・運用には費用がかかりますが、うまく活用すれば費用以上の効果が得られるはずです。